宿澤さん。

JAPANがSPRINGBOKSに勝つ日が来るとは夢にも思っていなかった。

ラグビーW杯での日本代表の大健闘はもう去年のこと。

(それにしても、エディさんの功績は計り知れない。)

それまでJAPANがW杯で挙げた唯一の勝利(ジンバブエ戦)をもたらしたのが宿澤さんだった。また5カ国(当時の)スコットランドから唯一の勝利を挙げたのも宿澤さんが監督の時だった。ただなぜだろう、宿澤さんの印象と言えば、個人的には監督というより、ラグビーの解説者としてのイメージが強い。テレビの前で、自信に満ちた笑顔で、解説している。そんな印象だ。そしてもう一つ、強烈な印象を残したのが、銀行員として経済ニュース(だったと思う)で解説する宿澤さんだ。その時、父か母に、「何で、ラグビーの人が金融の話してるの?」と聞いたことを覚えている。彼が優れた銀行員だと聞いて、「何てすごい人が世の中にはいるんだ」と思った。

宿澤広朗 運を支配した男」はそんな宿澤さんのノンフィクションだ。ハードカバーが出た時は書店員だったので覚えているが、よく売れた記憶がある。(何でその当時買わなかったんだろう?)今回講談社+α文庫になって店頭に並んだので思わず読んでしまった。

ラガーマンとして、ビジネスマンとしての卓越した能力。日本代表の監督を務めるというだけでも、想像もできない激務だろうに、ディーラーとしても一流の結果を残したそうだ。どっちでも結果が出ない人はたくさんいるだろうに、ものすごい人だ。そんな宿澤さんの人間性に触れられる良いノンフィクションだった。

日本ラグビー界にはこんな立派で格好良い人がいたんだよと多くの人にもっと知って欲しい。ラグビー界は宿澤さん、平尾誠二さん、その他にも数え切れない人達に支えられ、今活躍する、リーチ・マイケルさんや、五郎丸歩さんなどJAPANに繋がっている。そういう歴代の選手や監督たちを忘れずに、伝えていく。ラグビーがブームに終わらずに、根付いていくにはこういうことも大切なのだ。そんなことを思いながら読んだ。とても真似できる人生ではないけれど、憧れる生き方。それだけに、短すぎた人生をとても残念に思う。

 

 

宿澤広朗 運を支配した男 (講談社+α文庫)

宿澤広朗 運を支配した男 (講談社+α文庫)